発売元: 集英社
価格: ¥ 500
発売日: 2012/04/20
おすすめ:★★★☆☆
俺達はまだ十七歳で、これからなんでもやりたいことができる、
希望も夢もなんでも持っている、なんて言われるけれど本当は違う。
これからなんでも手に入れられる可能性のあるてのひらがあるってだけで、
今は空っぽなんだ。田舎の県立高校。
バレー部の頼れるキャプテン・桐島が、理由も告げずに突然部活をやめた。
そこから、周囲の高校生たちの学校生活に小さな波紋が広がっていく。
バレー部の補欠・風助、ブラスバンド部・亜矢、映画部・涼也、
ソフト部・実果、野球部ユーレイ部員・宏樹。
部活も校内での立場も全く違う5人それぞれに起こった変化とは…?
瑞々しい筆致で描かれる、17歳のリアルな青春群像。
視点が変わる連作短編集。
タイトルから青春スポーツものを連想してた。
何かあって挫折した桐島が前を向いていく、みたいな。
でも全然違いました。
だってまさか桐島本人が出てこないとは!(笑)
予想外で面白かったです。
読み終わった今も桐島ってどんな奴なんだろうと気になる。
読んでるともやもやします。
が、このもやもやが青春だなぁ、と思う。
まだ『自分』というものが確立しきってない時期って感じ。
不安定な今を目立つとかダサいとか上とか下とか、
ランク付けで安定させようとする安易さ。
逆らえない空気。流される楽さ。
そんな中、キャプテンである桐島が部活を辞めたことは、大きな事件なのかも。
自分の環境を自ら変えるということが。
大きく影響受けたのはバレー部の面々くらいですが、
他にもいろいろな人の心の中に何か残してる。
曖昧に複雑な心を抱える高校生をすごく的確に描いていると思う。